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父、源三郎と、息子、源太郎。
といえば、こちらのご常連さんは例外なく、畝家の源さんの話に決まってると思いますよね。

いやいや、それが、他にもいたんですね。父源三郎に息子が源太郎。
最近の意外なベストセラーといわれる、『君たちはどう生きるか』の作者、吉野源三郎氏と、その長男でジャーナリストの源太郎氏の話です。

『君たちはどう生きるか』の原作が刊行されたのは昭和12年(1937)。日本が戦争に向ってまっしぐらに進んでいた時代・・・と今でこそ、私たちは客観的に言いますが、当時を生きていた庶民たちはどんなふうに「今」をとらえていたんでしょうか(そして、私たちの孫や曾孫たちは、2018年を振り返ってどのように言うのでしょうか?)

昭和12年、この年の6月、林銑十郎内閣に替って発足したのが近衛文麿内閣。そして7月には盧溝橋事件が起こり、日中は果てしない戦争に突入します。「非戦思想」は糾弾を受けるようになって、キリスト教関係の本などが発禁処分となり、東大の矢内原忠雄総長も筆禍事件で12月に退官に追い込まれます。

今月の文藝春秋誌上で吉野源太郎さんが池上彰さんと対談していますが、源太郎さんによれば、『君たちはどう生きるか』は、「投獄され、自殺まで試みた父が、また検挙されるかもしれない・いずれ自分の命はないかもしれない、という恐怖を抱きつつ、命がけで生み出した物語」だったと語っています。

私は今回の漫画版は未読ですが、原作は小学校高学年の頃に読みました。自分の知らない戦前の話ではあったけれど、主人公の年齢が近いこともあって興味深く、物語に引き込まれて読んだ記憶があります。しかし、そのような「命がけ」というような雰囲気は感じなかったし、左翼とか思想とか検挙とかいう話とは無縁の、とても基本的な古今東西誰もが共感する価値観、でもその価値観に沿って生きる事はなかなか困難、というような事がわかりやすく書かれている話と解釈していたと思います。
そこが池上さんの言う「軍国主義的な価値観とは違うところで、良い人間とは何か、人としてどう生きるべきかを問い直すためにギリギリの線で表現している」努力の成果だったのですね。



ちなみに、池上さんは、やはり小学校高学年の頃、珍しくお父さんから勧められてこの本を読んだそうです。私は何故か、学校の図書館で借りたこの本を親に隠して読んだのですよね。当時、読みあさっていた岩波少年文庫や箱入りの講談社名作全集とか、少女小説、子供向けミステリーのようなものは、普通にその辺に置いたり妹と交替で読んだりしてましたが、これはカバンに入れておいて一人の時にこっそり読んだと思います。
あまりにも「良い本」で気恥ずかしいような気持ちだったのかもしれません。
「そんなに良い本を読んでいるのに、なぜ・・・」と生活態度について親に小言を言われるかもしれないという警戒心もあったかも。
池上家と比べると、男の子と女の子の違いというのもあったかもしれない。あまりにも人生真っ正面みたいな本を女の子が読むのはおこがましいような・・・人前では女の子向けというジャンル(若草物語とか赤毛のアンとかね)を読んでいたほうが、すべて無難におさまるというような無意識の計算があったのかなぁ。今の子供たちはどうなんでしょう。

実は、この話はもっと前にUPして、月末の談話室は、別に何か季節のかわせみ物語を探すつもりでいたんですが、「二月は逃げる」であっという間に日がたってしまい、これを流用してしまいました。
全然「かわせみ談話室」になってないじゃないかと、あちこちからツッコミが入りますよね~~
せめて、畝家の「父源三郎と息子源太郎」の名場面でも探すことにしようかな。
お勤めで留守がちの源さん、案外息子とのツーショット場面は少ないのですよね。
どのお話だったか、庭で源太郎が素振りしているのを、縁側で源さんが立って眺めているというシーンがありました。ごく何でもない、ストーリーにも関係しないシーンですが、こういう場面がさっと挿入されていたのが、江戸編の良いところでしたよね。
源太郎が誕生したときの、みんなの大騒ぎぶりも懐かしい。
ツーショットではありませんが、横浜の先生がらみで源太郎と麻太郎が危機一髪!という話で、源太郎の守袋が落ちているのを見つけた源さんがハッとする所もすごく印象に残っています。
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かわせみ談話室 2018 2月

Comments

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コメント
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たまこ様、『君たちはどう生きるか』を小学生時代に読まれてたとは、
さすが!!感服しております。近頃、評判なのは知っておりましたが、
そんなに前に書かれていた本だったとは、まったく知らず、
今更ながら、勉強不足を思い知っております(恥)
二月前半は、雪との闘い(大げさかな?)後半は、五輪中継に
かじりつく日々で、終わってしまいました。

路肩雪 汚れちまって 如月尽

一時は100cmにもなり、屋根の雪下ろしが必要かもの状態でしたが、
最終週の陽射しで、屋根や道にはほとんどなくなりました。(宗匠の地ではまだまだ多いのかな・・)やれやれです。

五輪ロス そだね~にメダル 如月尽

ミーハーですが、若い選手達のプレー、発言、立ち居振る舞い
羽生くんを筆頭に、小平さん、カー娘、選手の皆さんから元気、勇気を
一杯もらえて感謝でした。日本はまだまだ大丈夫!と、思えます。

すみれ  2018/02/27 (Tue.) 21:39 edit

私も驚きました。
たまこさんが「君たちはどう生きるか」を読んだのが小学生時代とは!
自分の小学生時代の読書歴を思い起こすのも恥ずかしい~。

オリンピック漬けの日々が終わって、通常運転に戻さねばならないのにぐずぐずしております。次はパラリンピックですね。テレビの放送がちゃんとあるといいのですが、地上波しか見られない(&テレビ東京系も無理)ので、見られるものだけでも見たいと思っています。

さて、親子といえば、羽生選手のフリーの曲「SEIMEI」の作曲家とペアの須崎・木原組のショートの曲「ユーリ!!! on ICE」の作曲家は、親子なんだそうですね。親子でもすべてが遺伝でするわけはないのに、才能は受け継がれたのだと思って嬉しくなりました。

氷上に才の冴えあり如月尽

桃の節句が近くなるとかわせみの中でお吉さんが言っていた、甘酒のことが思い出されます。

甘酒屋の屋号は忘れた如月尽

浅黄裏  2018/02/28 (Wed.) 10:41 edit

このところ尽句もご無沙汰で失礼していました。言い訳をいうと、大晦日は宵の口まで仕事をして、そのあと近所のお寺の年越しイベントのなかのお能の舞を見に行き、翌日も早出で元日営業の仕事場へ。1月末はひどい風邪を引いてそれでも休めず仕事三昧。たぶん年末から作品制作が立て込んでバタバタしていたので疲れがたまってたところへ、風邪にしてやられたんでしょうね。
オリンピック期間は休みがきちんととれた日はテレビ観戦ばかり。メダルの瞬間はだいぶliveで見れた気がします。フィギュアのドラマチックな展開とスピードスケート、カーリングには興奮しました。あとは青空が美しかったスノボ。ハーフパイプはスゴかったです。パラリンピックもぜひ観戦したいなあ。

「君たちはどう生きるか」あちこちで話題になっていますね。漫画になることで古典的な名作が再認識
されたんですね。編集者のかたの力量、作画をされたかたの画力が素晴らしいな~。残念ながら私はたぶん読んだことがないので、文庫で読んでみようかな。父、源三郎と子、源太郎、父の子に対する思いがしのばれるような気がします。
今日は遅出なので、あちこちうろうろ。4月にリニューアルオープンする当地の歌舞伎公演のメッカ「御園座」をとおりかかりました。真っ赤なエントランスが素敵。早くオープンしてほしいなあ。

塗りあかく門出待つ日の如月尽

はなはな  2018/02/28 (Wed.) 13:10 edit

ご多聞にもれず、気がつけばテレビを見ていた2月でした。時差なしは昼夜逆転とかが無くて良いですが、日中の仕事が止まりますね。
これ、夏のオリンピックはエアコンの効いた室内から絶対出ない予感がします。

さて、当地では昨日が公立高校の合格発表でした。
甥っ子が受験でしたので、勝手にハラハラしてましたが、合格したとの連絡がきて、一安心しています。4月からは新しい環境で、楽しく過ごしてくれることを祈ってます。

サクラサク 報せにホッと 如月尽

ゆきどり  2018/02/28 (Wed.) 19:44 edit

浅黄裏さま

甘酒屋は多分、豊島屋ではないでしょうか。
私もお吉さんのセリフは覚えていませんが、佐伯泰英の『鎌倉河岸捕物控』に出てくるので、定番なのはここなのかなと。

ゆきどり  2018/02/28 (Wed.) 19:50 edit

「君たちはどう生きるか」原作も漫画版も読んだ事ありません…
小学生の頃は、仰るように「若草物語」「赤毛のアン」等、読んでましたね(^_^)

前の記事についてのコメントですみません、
「国際母語の日」初めて知りました。言われてみれば、海外では、同じ国の中で違う民族どうしが争うとか、少数民族が母語でない言葉を強制されるとか聞きますが、日本に住んでいると、どうもそういう事に疎くなってしまっていますね。
それに、識字率にしても、先進国のアメリカですら、場所によっては成人の四割ぐらいが読み書きできない地域もあるそうで、そういう面でも日本は恵まれているんだなと思いました。
オリンピックで感動が世界中に広がったように、母語を話せて読み書きできるというあたりまえの事が、世界中にどんどん広がりますように。

麦わらぼうし  2018/02/28 (Wed.) 21:56 edit

ゆきどり様

甘酒屋は、豊島屋さんでしたか。
ありがとうございます。
お吉さんのセリフは、たしか「うちは、お嬢さんが〇〇なのがお好きだから」というのだけ覚えていて、その後に続けて、たしか「だから□□屋のを買うのだ」といった意味のことを言っていたと思うのですが、うろ覚えでした。〇〇は「豊島」だとゆきどり様のおかげで判明しました。
お吉さんはいつもスルスルと言葉が出てくる感じがあって、そこが好きなのですが、肝心な内容を思い出せないようではだめですね。

浅黄裏  2018/02/28 (Wed.) 23:21 edit

冬季オリンピックの2週間もあっという間でしたね。
昔のオリンピックの日本選手って、なにか一身に重い期待を背負った悲壮感みたいなものがありましたが、今の選手は若くても堂々たるもの、世界の晴れ舞台でも伸び伸びとしていて感心しきりです。それだけ日本も豊かにグローバルになったということなんでしょうね。

明日からは弥生、日に日に春めいてきますが、それだけ天候も不安定に。明日は春の大嵐とか、通勤通学の足が乱れないとよいですが。
桃の節句の白酒は、甘口がナントカ屋さんで辛口がナントカ屋さんってお吉さんが言っていましたよね。豊島屋さんのほうが甘口だったかな?

春嵐 気を配りつつ如月尽


ストファ管理人  2018/02/28 (Wed.) 23:27 edit

クリックしたら浅黄裏さんとほぼ同時投稿でした(^O^)
おるいさんは、甘口のほうがお好みだったんでしたっけ?

フィギュアスケートの作曲家が親子だったとは全然知りませんでした。日本でも服部良一さんと克久さん(?)確かそのまた息子さんもそうですよね。文学では大デュマ・小デュマとか。芸術DNAって確かに遺伝ありますよね~

ストファ管理人  2018/02/28 (Wed.) 23:33 edit