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この時期は特に何もなくても年度末で慌しいですが、今年の3月は本当にいろいろな事がありましたね。政局も天候も大荒れな中、パラリンピック選手たちの活躍は、オリンピックに続き大きな感動を呼びました。障碍のあるなしと運動神経は、全く別物だということをつくづく感じました。

個人的に大変悲しく思ったのは、13日に作家の内田康夫さんが亡くなられたことでした。病気療養のため執筆中の浅見シリーズ作品を作者自身が完結させるのが難しく、ファンクラブの合作による完結編を準備中というニュースを聞いて心配していたのですが・・・浅見光彦と兄の刑事局長兄弟が、通之進様と東吾さん兄弟に共通するイメージもあって、かわせみファンで同時に内田ファンという方も多かったですよね。浅見や信濃コロンボなどの人気連作シリーズ以外の初期作品にも力作がありました。
弱小出版社勤務の私としては、内田さんが自費出版の作品でデビューされたということも、非常に親しみを感じていました(もちろん、いつの日か内田作品やハリー・ポッターや、うんこドリルのような、誰もまだ知らないお宝作品が突然我が社に持ち込まれ、空前の大ヒットとなって社屋一新・給与倍増・・・を夢見ているわけです)。
朝日新聞24日の文化文芸欄に、赤川次郎さんが書いていた追悼記事がとても良かったです! 多大な読者に愛され出版界に大きな貢献をしながら文学賞とは無縁のミステリー作家の同輩として、「大人の美学をサラリと貫いた」作家であったと賛辞を贈っておられました。赤川さんの所に来た女性読者からの手紙に「私はこれから内田康夫さんの作品を読むことにしましたので、先生の作品は卒業させていただきます」と書かれていたというエピソードも大笑いでしたが、確かに中学高校生時代に赤川作品を愛読し、大人になって内田作品のファンに移行するという層も厚いかもしれません。

さて今月は我が弱小出版社も春を迎えて「ホントに歩く中山道」の刊行開始となりました。東海道ウォークマップに続き「今度は中山道を是非」という声が前々からあったのにお応えして、東海道五十三次と京街道(五十七次)・佐屋街道・姫街道までがようやく完了して、中山道シリーズを始めることになったわけですが、調査・編集・印刷コストと売れ行きを較べてみれば、社屋一新給与倍増には程遠いのは一目瞭然(泣)ですけれども一同頑張っております。


この中山道シリーズは、東海道シリーズとは逆に、西から東、つまり京都三条大橋から日本橋をめざす作りになっているのが他社マップと違う所です。東海道で京へ上り、帰りを中山道でというコンセプトで、これは偶然ですが、平岩先生の隼新八シリーズの東海道・中山道と同じです。改めてこの二作を読み返し、街道初心者にうってつけの作品だなぁと思いました。


かわせみシリーズには、「春」のつく作品は多数ありますが、「春」が「初春」のことを指しているものも多いですね。
その中で『春風の殺人』という、明治編の作品は、まさに今の時期にぴったりで、江戸から東京になった首都の花の名所がいろいろと出てきます。


↑は、三代広重の「東京名所第一の勝景・墨水堤花盛の図」ですが、冒頭に登場する麻太郎・源太郎の周囲も、こんな感じだったのでしょうか。
もっとも、バーンズ先生と同じく花より団子のほうな私は、物語の中に出てくる「泉谷」という料理屋が気になって、どこかモデルの店があるのかなぁ等と思ったのですがよくわかりません。京都には「泉仙」という「鉄鉢精進料理」で有名なお店があり、その系統で「泉◎」という料理屋もいくつかあるみたいですけどね。

『春風の殺人』は、タイトルから連想されるような加害者vs被害者という殺人事件ではないのですが、誰ひとり幸せにならない非常に苦い後味の作品です。背景が春爛漫、満開の桜景色であるだけ一層、周囲の利己主義と興味本位な世間の目に振り回されて死に追いやられる芸者の哀れさが際立ちます。昔捨てた子を探す親、候補者が二人いてどちらが本当の子か、というようなストーリーは、江戸編にもいくつかありましたが、いずれもハッピーエンドには至らなくても、もう少し情感のある、救われる終わり方でしたよね。
このお話で一つ気になるのは、死んだ八重丸に対して、梅千代のほうがよくわからないまま終わってしまっていることです。もしかして、本当の娘は梅千代のほうだったのか? 彼女の真意は何だったのか、最後にもう一度登場させてほしかった気がします。
前にも書きましたが、明治編になってから人生の苦さ・不条理さが色濃くなっているようで、作者の意図的なものか無意識のうちかはわからないのですが、これもその典型的な一つだと思います。
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かわせみ談話室 2018 3月

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このところの温かさに桜が一気に咲きましたね。昨日は鎌倉へお墓参りに行って来たのですが、途中至る所に満開の桜が眺められて、まさに「桜デー」な一日でした。
いつもお墓参りの頃は鎌倉の桜にはまだ早いのですが、今年はいつもより早く、ちょうど園内の桜並木も満開。平日にもかかわらず、大勢の人がお墓参りに訪れていました。

春爛漫はなはなはなの弥生尽

私も内田康夫さんのファンで、ほとんどの作品は読んでいると思うのですが、特にデビュー作の「死者の木霊」には「これがデビュー作なのか?」と驚くほどの完成度で、一気にファンになりました。代表作である浅見光彦作品は多くがドラマ化されていますが、もう新作が出ない思うととても寂しいです。つい先日「高千穂伝説殺人事件」を再読しましたが、ちょうどドラマも再放送されていて、なんと夜神楽見物のお客として内田先生がご本人役で出演されていました。若々しいお姿で懐かしかったです!

あっちの管理人  2018/03/30 (Fri.) 09:24 edit

書き忘れてしまいました。
おたま姐さんはついに「中山道」に手を付けたのですね!
健脚を誇るおたま姐さんのこと、まるっとさくっと中山道ウォーキング制覇しそうですね。
めざせ社屋一新、給料倍増!

あっちの管理人  2018/03/30 (Fri.) 09:35 edit

あっちの管理人さま、早々と有難うございます。
私も昨夜、フジテレビのドラマ見ちゃいました。中村俊介さん、これで浅見光彦卒業だそうですね。中村さんも交代したばかりのときは、まだ二十代に見えてちょっと早いんじゃないの?って感じでしたが、すっかり板についてきた感じで、まだまだいけるんじゃないかと思いましたが、惜しまれながらのうちがいいのでしょうか。キャストに野際陽子さんも入っていたので「そんなに早く撮影してたの?」と思いましたが、海外旅行中という設定にして、これまでの映像をうまく使っていました。内田さんが亡くなっても、浅見シリーズはこれからも新しい役者さんでずっと映像化され続けていくと思いますが、原作がもう新しいのが読めないのは本当に寂しいですね。

今年の桜の開花がどんどん、前倒しになっていったのは、きびしい寒さと急に暖かくなるのが繰り返されたからで、ダラダラと暖かい日が続くのはかえって咲かないそうです。やっぱりメリハリが大事ってことですかね。

寒暖差 花の背を押す弥生尽

ストファ管理人  2018/03/30 (Fri.) 17:42 edit

厳しい寒さだった冬と打って変わって、当地も暖かな日が続いています。お米も豪雪だった時の方が出来がいいと聞いた事がありますので、たまこさまが仰るように、天候はメリハリがあったほうが、木々や作物にはいいんでしょうね(人間は大変だけど)

東海道、中山道、歩いてみたい気持ちはあるけど無理だろうなぁ~
だが、しかし、そんな時こそ読書!登場人物になりきって、あたかも自分が体験したような気分になれる、それも読書の醍醐味ですね。

脳内で街道歩く弥生尽

麦わらぼうし  2018/03/30 (Fri.) 21:37 edit

今年は本当に桜が早くって、お花見をいつにしようかスケジュール帳を眺めつつ悩んでおります。京都の桜は、早くも花吹雪になりかけているところもあります。彦根は満開にはまだ少し間があるようです。

あっちの管理人様がおっしゃる通り「死者の木霊」は力作でしたね。ファンクラブに入ろうかと迷って結局見送ったのが今から25年前でした。光彦役も水谷さんから何人も登場して、各局でドラマ化が進みました。本当に長く長く愛されてきたのだと思います。

明治編の不条理さはたまこ様のおっしゃる通りですね。江戸編にも勿論ありはしましたが、そこは春風のような東吾さんの「そんなものは、うっちゃっておけ」のひと声で晴れたものでした。それが明治編にはないような…。

さて、三月末といえば宝塚音楽学校の合格発表です。高3までしか受験できない制限もさることながら、一次試験の合否が容姿で決まるという、この現代ではいっそ清々しいほどのバッサリぶりは実は嫌いではないです。

咲く花は スミレの大輪 弥生尽

浅黄裏  2018/03/30 (Fri.) 23:09 edit

桜こちらも満開です。いつもより早い感じですね。静岡でもこの土日は桜祭りや夜桜ライトアップなどあちこちであり天気もよさそうでにぎわっているようです。ニュースでやっていました。

新しき名前が載ってる勤務表

明日から新入社員が私の勤務している職場にも配属されています。土日が休日でないのでローテイションで休日がきます。翌月の勤務表が月末に渡されるのですが4月の勤務表には新入社員の名前が載っていました。
人手不足で常に社員募集している状態なので少しは楽になるかなぁ

紫陽花  2018/03/31 (Sat.) 17:53 edit

31日間、冬本番から、春を飛び越えて夏になったり、気温差の
激しい期間でしたね・・桜もどんどん開いています。
かわせみのお話、明治編の新展開を待って随分になりますが、
辛抱強く待ちたいです。

球児へとエールよ届け弥生尽

選抜高校野球に当県から本当に久しぶりに二校の代表校が出場中です。
何とか接戦を勝ち抜けて、二校ともベスト8に入れました。
知り合いはいないけれど、県代表校を応援したくなります。
年度末・・明日からは、新天地、学校、職場での活動が始まります
リタイア組のわが身ですが、彼らの頑張りにもエールを送りたいです。

すみれ  2018/03/31 (Sat.) 21:48 edit

ついにたまこ様は中山道に踏み込まれるのですね。相変わらずの健脚ぶりに感嘆します~♪
内田先生の訃報は驚きました。作品は数えるほどしか読んでなくてお恥ずかしい限りなんですが、かわせみのお仲間には内田作品の愛読者が多くていらっしゃるので親近感がありましたし、テレビシリーズは結構見てたかも。天河殺人事件はちょっとはまっちゃってました。

かわせみ明治編の翳りは、平岩先生があえて輝かしい江戸編との対比を意図して、難しい世の中になったことを象徴的に書かれているのかなあと思って拝読しています。スッキリ~♪と読み終えるかわせみも好きですが、幾重にも悲しみを湛えているようなお話も味わい深いなと思います。

当地は桜がはや散りがけです。舗道の水溜まりを桜の花びらが埋めています。
以前福井城址のお濠で見た豪華ないちめんの桜色の花筏を思い出します。

花筏かつての想ひ弥生尽

はなはな  2018/03/31 (Sat.) 23:26 edit

年度末の慌ただしさは主婦には関係ないはずなのですが、なんだかバタバタしてすっかり尽句のことを忘れていました。
週が明けて月曜日、やれやれと思ってカレンダーを眺めていたら思い出して参上しました。

内田先生の訃報は本当に残念でした。文庫本で随分とたくさん読んだと思います。何を読んだかわからなくなり、各社から出し直される本をうっかり買って「読んでた!」と思ったことも何度か。
ドラマも楽しく拝見していましたが、活字派の私はやはり本で読むのが好きでした。これから新刊が出ないというのは本当に残念です。

今年の冬の寒さはひとしおで、でも暖かくなったら一気に暖かく。私も大急ぎで花見の予定をたてて桜を楽しんできました。皇居周辺をめぐりましたが、満開の桜と暖かい陽気とたくさんの人の波で、良い一日でした。

爛漫の春の訪れ弥生尽

ゆきどり  2018/04/02 (Mon.) 10:00 edit