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早いものでもう5月も終わりです。先月お知らせしましたように、ほぼ業務用ですがTwitterを始めました。Twitterは誰がフォロワーになるかわかりませんし、リツイートなどでフォロワー以外の目に触れることもあるので、Twitterではこのブログの事はわからないようにしています(会社の人々にも、ブログの存在は一切秘密です(^^ゞ)
しかし逆に、このブログに来て下さる数少ない方々は長い「かわせみ」ご常連のおなじみさんですから、ブログの横にTwitterを反映できれば、アカウントを持たない方にも見ていただけると思いつき、やってみました。無料ブログではダメかなと思ったのですが、画面に出るのに少し時間がかかりますが、ブログの左側に見えてますよ~と確認を頂いたので安心しました。

すっかり更新も放りっぱなしですが、アクセス解析を見ると毎日のように訪れて下さっている方も多いので、「今日もまた前と同じだなぁ」とガッカリさせてばかりだったのが、これで2~3日に一回は一言でも上積み出来たり、自分では書きこまなくても誰かの興味深い発言をリツイートして見てもらったり出来るのは良かったなぁと思います。
Twitterを通じて、これまであまり知らなかった分野の情報を取り込んだり、逆に業務関係に「かわせみ」関連情報を流したり(新八シリーズは街道そのものですし、かわせみにも結構、探せばいろいろご当地情報がありますのでアピールしなくては!)相互乗り入れを目指します♪

さて今月のお話は、『十三歳の仲人』所収の『成田詣での旅』を選んでみました。
これは好きなお話というよりは、なんとなく心に引っ掛かっている話かもしれません。
例の、お名前の読み方の質問がご本家掲示板に来たりしていた茶道の師匠、寂々斎楓月先生の喜寿の祝で、おるいさん・お千絵さんがご町内のご一行様で成田への旅に出る話です。といっても肝心の成田山新勝寺については、1ページの半分もない位にスルーされちゃってるんですがね(笑)
かわせみシリーズでは、これまでも旅先でのいろいろな事件の話はありましたが、今回は何もトラブルもなく、無事お詣りもすませます。そして、ちょっとした出来事がきっかけで、ご一行メンバーの深川の料理茶屋の主人新兵衛が女番頭のお篠と、慌しくも旅先で祝言を挙げるという運びになります。
このあたりまでは何となく、人情コメディか、落語みたいなオチがつくのかと思いつつ読み進む訳ですが、ラストに向かってはなかなか、重苦しいというか、苦い味の展開になってしまいます。殺人事件ではないのだけれど、事件ではないだけいっそう、かけ違ってしまった成り行きの後味悪さが際立ちます。
読む人によって、いろいろな側面から、いろいろな感想が出てくるだろうと思われる話ですね。

↓は、成田山よりも行数を割いて説明されている?道中一泊した船橋の「なんだか難しい名前のお宮」意富日神社(おおいじんじゃ)のHPからお借りしてきた、江戸名所図会の図です。現在は船橋大神宮とも呼ばれているらしい。

昔は泊りがけだった成田も船橋も、国際空港と首都を結ぶ「千葉都民」の街となり、船橋などは下手な東京23区内よりも、都心への通勤が便利なベッドタウンになっています。



ずっと前にHPの「かわせみ心模様」に書いたこともあるんですが、「出来る女の明暗」というジャンルが、かわせみシリーズの中にあって、このお話もその一つかな~という気がしています。
これまでに出てきた「出来る女」の両典型は『奥女中の死』の悲劇と『師走の客』のハッピーエンド、その対比が印象に強いのですが、この『成田詣での旅』のお篠さんはその中間くらいでしょうか。

お篠さんへの共感度・評価もかなり割れると思いますが、私は、彼女がいったい何を求め、誰を愛していたのかなぁと考えてしまいます。最もやりたかった事はやっぱり、自分の力で店を繁栄させたいという事業欲(?)だったのでしょうかね。
愛情に関しては、新兵衛旦那は全く役者不足・・・ハッキリ言って魅力は彼の「旦那という立場」だけだったと思われるし、弥七さんをひたすら待ちわびていたとも思えない。

もしかしたら彼女が最も愛したのは、一から仕事を教えてくれ、自分の才能を引き出してくれた先代の旦那だったのかもしれません。
しかし先代の旦那は、お篠の手腕を見込んで、女番頭というこの時代は珍しい地位(ふつう料理茶屋だったら、出来る奉公人といっても女ならば仲居頭ですよねぇ)につけたけれども、息子の嫁にしようとは考えなかった。能力は見込んでも、人格的に今ひとつ惚れこめない、冷やりとしたものを感じていたのかもしれませんね。

もし、先代の旦那がお篠の性格も能力も信頼していて、でも息子の嫁には出来ない(親類の反対が強いとか昔からの許嫁がいるとか)のであれば、男の奉公人で見どころのあるのを番頭として鍛え、お篠と夫婦にして実質的経営を任せたのでは・・・という気がするのです。お篠の手腕を利用すると同時に彼女のプライベートな幸福も保証してやる。それが最も将来の店の安泰につながると。出来る男の奉公人が全く一人もいなかった?っていうのも考えにくいです。

いずれにしても、お篠さんはちょっとやり過ぎでした。旅先の祝言も無理がありますし、小細工に頼っても、長い目で見たら良い事はひとつもないですもんね。
しかし、三十を出たばかりという年齢なら、まだまだやり直しはききます。
当時は今と違って四十代で初老といわれた時代(笑)といっても、おるいさんが千春ちゃんを産んだのは結構年がいってからですし、七十七歳で旅に出かける楓月先生だって平成の七十七歳をしのぐ元気ぶりです。

立ち直って明るい笑顔を見せてくれるお篠さんが、明治編のどこかで再登場しないかなぁと思う次第です。
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かわせみ談話室  2018  5月

Comments

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たまこ様、今月もかわせみ談話室の掲載、ありがとうございます。
「成田詣での旅」・・久しぶりに読み直しました。私的には『十三歳の仲人』のお石さん、小源さん、麻太郎さんとかのお話の方が記憶に残っていて、直ぐには思い出せなかったです(汗汗)
しばらく、かわせみのお話の本を手に取っていなかったので、新鮮な
感動をもらえました。やはり、東吾さん、るいさん、源さんが若くて
元気な頃の、お話が大好きです。
《できる女の明暗》考察のあれこれも懐かしいですね・・遠い目・・
楽し気な旅の様子から、お篠さんのやり過ぎた?仕掛けの顛末へと、
平岩先生の筆も滑らかにすすんで、味わい深いお話でした。

雷鳴に布団引き寄せ皐月尽

さて、若葉が眩しかった月初めから、緑も濃さを増して、毎日の気温差が
激しい一か月でしたね・・掛布団も日替わりで厚くなったり薄くなったり身体がついていきません
昨夜来、雷雨、にわか雨、不穏な空模様の当地です。
今週末は、恒例の百万石祭りで、今年の利家公は、素敵な高橋克典さん、
お松の方は羽田美智子さん、お二人とも、ドラマなどで活躍中・・
沿道の声援も盛り上がることでしょう。天気予報も晴れへと回復と
あるので、見物が楽しみです。

すみれ  2018/05/31 (Thu.) 16:26 edit

成田山新勝寺、三十年以上前ですが、市川市在住の叔父に連れて行ってもらいました。るいさんたちのような情緒あふれる船旅ではなく、叔父の最寄駅まで電車で行き、そこから叔父の車で行きました。成田山についての知識がまったくないまま連れていかれただけでしたが、結構楽しかったと記憶しています。

私もすみれさまに同じく、表題作の「十三歳の仲人」が印象に残っていて、「成田詣での旅、あれ、どんなお話だったっけ?」と、久しぶりに読み返しました。あらためて読むと、なかなか味わい深いお話ですね。
はでな事件が起こるわけでもなく、でもいろんな立場、いろんな性格の人が出てきて…
私、お篠さん、嫌いじゃないです。あの程度の小細工は許されるんじゃないかな。彼女なら、きっとどこかでたくましく生きているような気がします。たまこさまがおっしゃるように、明治編のどこかでひょっこりと登場してくれるんじゃないかと思えてしまいます。

麦わらぼうし  2018/05/31 (Thu.) 21:58 edit

すみれ様、麦様、いつも有難うございます。
なるほど、あの話って、わりと印象の薄いほうだったんですね・・・確かに『十三歳の仲人』がインパクト強いですものね。

私も、お篠さんみたいな女性は、嫌いという訳ではないのですが、小細工にしても、倫理的に良くないというよりは、「いろいろ辻褄を合せなくちゃならないストレスの割には、結局は得るところが少ないんじゃないの~?」という疑問なんです。まぁ自分がマヌケすぎて小細工なんか絶対できない(やってもバレバレ)からってこともありますが(笑)

一年前の記事に書きましたが、今日がご命日の杉本苑子さんのデビュー作は世阿弥の伝記『華の碑文』の原型になる『申楽新記』だそうですが、その失われたと思われていた手書き原稿が見つかったとか。
昭和の作家がだんだん、数少なくなっていくのは寂しいですが、作品はずっと残りますよね。今はベストセラー作家に限らず、ネットで書評や感想も読めるのは有難い時代です。

すみれ様のおっしゃる通り、こちらでも毎日天気や気温に振り回されています。

予報に一喜 空見て一憂 皐月尽

ストファ管理人  2018/05/31 (Thu.) 23:02 edit