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いい歳をして、華道も茶道も全く縁のない(実は、団塊世代には案外いるのですよ~~「お花だのお茶だの、あんな古臭い教育がまかり通っていたから日本は戦争に負けちゃったのよ!これからは男女平等の世の中よ!」と、自分が押し付けられた花嫁教育に対する恨みを見当違いに発散する母親に育てられた娘たち・・・)身なので、普通ならスルーで終わるはずの「花戦さ」を見る気になったのは、やっぱり一にも二にも萬斎さんの引力である。「のぼうの城」のインパクトは大きかった(原作『のぼうの城』を買おうとしてブックオフに行き、間違って『火天の城』を買って帰った私に言われたくはないと思うが)。
萬斎(池坊専好)を取り巻くキャストも豪華版である。脚本は現在、NHKの直虎を鋭意執筆中の森下佳子さん。大河ドラマのシナリオを書く直前に映画も一本片づけるなんて、すごいパワーだ。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
もっとも、大河ドラマ直虎と違って、この映画には原作がある。ハデハデな映画ポスターの印象か、少し前に評判になった「へうげもの」の記憶のせいか、なんとなく漫画が原作のような気がしていたが、漫画ではなく活字の小説だ。
作者は歴史小説家というわけではなく、若い時に世界を放浪し、その後サラリーマンをしながらいろんな分野の小説を書いている人らしい。

はっきり言って原作の方はやや薄味という気もした(原作と映画がちょうどよく組み合っていた「のぼうの城」に比較すると、、)が、作者プロフィールから見ると、グローバルな視点というか、日本の戦国史や幕末史タコツボ的な小説とはまた違った好さがあるのかもしれない。
いずれにしても、映画は原作の薄さを幸い(?)、これでもかと濃いキャラの面々をぶちこんだ上、その面々が束になってかかっても、主人公の貫禄はビクともしない萬斎さんの力技で、いちおう面白く見られた。ラストの度肝を抜く松の大木&猿を始め、数々の生け花作品も楽しかった。華道の心得のある人ならもっと楽しめるに違いない。

最初に書いたように、お茶お花といえば、今の人間には「花嫁修業」がまず連想されるが、それは明治以降の話であって、利休や池坊専好の時代の華道や茶道は、大名や武家、大商人や僧侶たちの「男の芸事」であった。澤田ふじ子の「高瀬川女舟歌」シリーズにも、ヒロインが「女だてらに花など習って」と言われながら烏丸六角の池坊に通うというシーンが登場する。
原作にある説明によれば、六角堂の開祖は聖徳太子で、太子が四天王寺の建材を求めに山城に来たとき、この地に持仏を祀れとのお告げがあったという。後に平安京に遷都した桓武天皇が道路を作る際、この六角堂が自ら動いて道路を作りやすくしたという言い伝えもあり、また親鸞聖人が浄土真宗を開く前に参籠したのも、この六角堂だそうだ。

今日の朝日新聞の広告特集に、「花戦さ」と萬斎インタビューが載っていたが、萬斎さんは今は京都のビル街の真ん中にある六角堂を、人々が近道するために通り抜けていく光景を見て、厳格なイメージの存在ではなく、町の人々が気軽に立ち寄れて心の拠り所としている、皆に愛された場所だったのだと感じだという。そして池坊専好という人物もきっと、皆に慕われる愛すべき人物だったのだろうと。狂言の「太郎冠者」とも共通点があり、以前に演じたクールな陰陽師の安倍清明とは真逆に演じたというのが面白かった。
朝日新聞には、映画の封切前、故遠藤周作がこの六角堂を非常に愛していたという記事もあり、現在の家元池坊専永とは共に「違いのわかる男」CMに出演した縁もあって、対談や人物評も書いているそうだ。

京都市内をバスで通ったとき、立派な池坊学園のビルを見て、ここがあの池坊の拠点かぁと
思った記憶はあるが、六角堂については全く意識していなかった。こんど京都に行くときは、是非とも寄ってみたいものだ。
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野村萬斎ほか豪華キャストの「花戦さ」

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