若手能に続いて春の青翔会。喜多・金春・宝生の各流による舞囃子も、ほとんど半能くらいのボリュームでたっぷりと見られた。
舞囃子「半蔀」【喜多】 塩津圭介
「折りてこそ、それかとも見めたそかれに ほのぼの見えし花の夕顔」
「明けぬ前にと夕顔の宿りのまた半蔀の内に入りてそのまま夢とぞなりにける」
源平ものと並んで大きな能ソースとなっている源氏物語由来のお能で、光源氏と夕顔のエピから。同じテーマの「夕顔」という作品もある。
舞囃子「玉葛」【金春】 中村昌弘
「恋ひわたる身はそれならで玉葛、いかなる筋を尋ね来ぬらん」
これも源氏物語からで、玉葛は先の「半蔀」のヒロイン夕顔の娘。流派によって「玉鬘」の表記になるようだ。
舞囃子「猩々」【宝生】 東川尚史
「月星は隈もなし、所は潯陽の酔の内の酒盛、猩々舞を舞はうよ」
「よも尽きじ万代までの竹の葉の酒、汲めども尽きず、飲めども変らぬ秋の夜の盃」
中国伝来もの。舞囃子では面・装束はないが、本曲での赤頭赤づくめの装いを想像しながら勇壮な舞を鑑賞する。
狂言「梟山伏」【和泉】 シテ(山伏):河野佑紀
アド(兄):野村万之丞 小アド(弟):能村晶人
小中学生の伝統芸能初体験としてもぴったりと思える楽しい狂言。ミイラならぬフクロウ取りがフクロウになってしまう話だが、梟に取りつかれてもあまり不幸そうに見えないという所が、案外に深いオチかも。弟が突然に「ホー!」と叫んで驚かす所から、皆で「ホー・ホー」と退場していくラストまで休みなしに笑える。
兄役の野村万之丞さんは、昨年夏に万之丞を襲名した。「梟山伏」は、彼の虎之介時代に一度見ている(うひゃ~こういう書き方が出来るようになって嬉しいわ~)その時は虎之介さんは山伏役で、実弟の拳之介くんが弟役で「ホー!」と叫んでいた。
狂言では「寿福寺の鐘はゴォォォ~ン」の「鐘の音」と、この「梟山伏」が一番好き。
能「賀茂」【観世】 シテ(里女/別雷神):青木健一
前ツレ(里女):小早川泰輝 後ツレ(天女):武田祥照
ワキ(室明神神職):矢野昌平
ワキツレ(従者):村瀬提・村瀬慧
アイ(賀茂明神末社の神):上杉啓太
「白羽の矢」が出てくるお能。里女と天女は、ツレの前後のようだが今回は別人が演じている。
脇能というのはだいたい退屈なのだがm(__)m、 これは華やかで楽しめる。アイも面をつけて舞う。各人の装束も素敵なのに、「演目別にみる能装束」のⅠにもⅡにも「賀茂」は出ていない。後シテ別雷神の黒い冠に白い爪?のようなものがついているのは何なのか知りたかったのに。前シテ・前ツレは女性らしいカラフルで華やかな唐織、後シテは赤頭、金やオレンジの縫のある黒の上衣(法被?)、天女はクリーム色の上衣に鶯色の袴で春らしい装い。
地謡・囃子方に女性が3人もいるのが目を引いたが、優しげな掛け声もこの曲には合っていると思えた。
国立能楽堂にはギャラリーが付設されており、面や装束を始め、いろいろな資料が展示されている。無料なので、能を見る予定がなくても、近くに来た時は寄って見学できるし、ついでに、毎月美しいデザインで作られている上演チラシもGETして楽しめる。
今回は「能絵の世界」という企画展があり、とても面白かった。
能を題材とした絵は、大名家などで絵師に描かせ、保存されていたようだが、何百年も前に描かれたものが、今も色彩鮮やかに残っており、いかに大切に保管されていたかを物語っている。絵を収納する箱なども、実に豪華な造りである。
今回は「能絵鑑」という有名な能絵シリーズの企画展で、なんとこれは先日、NHKドラマ「忠臣蔵の恋」に登場した六代将軍家宣と、その正室の周辺で描かれたシリーズだという。4バージョンのシリーズがあるそうだが、そのうち一つは行方がわからず、残り三点が、国立能楽堂、法政大学の野上能研、宇和島伊達家にそれぞれ保管されており、今回はそれらを集めて展示したものだそうで、同じ作品の同じ場面を描いていても、それぞれ細かい違いの見られるところなど詳しい説明と共に展示されており非常に興味深かった。
舞囃子「半蔀」【喜多】 塩津圭介
「折りてこそ、それかとも見めたそかれに ほのぼの見えし花の夕顔」
「明けぬ前にと夕顔の宿りのまた半蔀の内に入りてそのまま夢とぞなりにける」
源平ものと並んで大きな能ソースとなっている源氏物語由来のお能で、光源氏と夕顔のエピから。同じテーマの「夕顔」という作品もある。
舞囃子「玉葛」【金春】 中村昌弘
「恋ひわたる身はそれならで玉葛、いかなる筋を尋ね来ぬらん」
これも源氏物語からで、玉葛は先の「半蔀」のヒロイン夕顔の娘。流派によって「玉鬘」の表記になるようだ。
舞囃子「猩々」【宝生】 東川尚史
「月星は隈もなし、所は潯陽の酔の内の酒盛、猩々舞を舞はうよ」
「よも尽きじ万代までの竹の葉の酒、汲めども尽きず、飲めども変らぬ秋の夜の盃」
中国伝来もの。舞囃子では面・装束はないが、本曲での赤頭赤づくめの装いを想像しながら勇壮な舞を鑑賞する。
狂言「梟山伏」【和泉】 シテ(山伏):河野佑紀
アド(兄):野村万之丞 小アド(弟):能村晶人
小中学生の伝統芸能初体験としてもぴったりと思える楽しい狂言。ミイラならぬフクロウ取りがフクロウになってしまう話だが、梟に取りつかれてもあまり不幸そうに見えないという所が、案外に深いオチかも。弟が突然に「ホー!」と叫んで驚かす所から、皆で「ホー・ホー」と退場していくラストまで休みなしに笑える。
兄役の野村万之丞さんは、昨年夏に万之丞を襲名した。「梟山伏」は、彼の虎之介時代に一度見ている(うひゃ~こういう書き方が出来るようになって嬉しいわ~)その時は虎之介さんは山伏役で、実弟の拳之介くんが弟役で「ホー!」と叫んでいた。
狂言では「寿福寺の鐘はゴォォォ~ン」の「鐘の音」と、この「梟山伏」が一番好き。
能「賀茂」【観世】 シテ(里女/別雷神):青木健一
前ツレ(里女):小早川泰輝 後ツレ(天女):武田祥照
ワキ(室明神神職):矢野昌平
ワキツレ(従者):村瀬提・村瀬慧
アイ(賀茂明神末社の神):上杉啓太
「白羽の矢」が出てくるお能。里女と天女は、ツレの前後のようだが今回は別人が演じている。
脇能というのはだいたい退屈なのだがm(__)m、 これは華やかで楽しめる。アイも面をつけて舞う。各人の装束も素敵なのに、「演目別にみる能装束」のⅠにもⅡにも「賀茂」は出ていない。後シテ別雷神の黒い冠に白い爪?のようなものがついているのは何なのか知りたかったのに。前シテ・前ツレは女性らしいカラフルで華やかな唐織、後シテは赤頭、金やオレンジの縫のある黒の上衣(法被?)、天女はクリーム色の上衣に鶯色の袴で春らしい装い。
地謡・囃子方に女性が3人もいるのが目を引いたが、優しげな掛け声もこの曲には合っていると思えた。
国立能楽堂にはギャラリーが付設されており、面や装束を始め、いろいろな資料が展示されている。無料なので、能を見る予定がなくても、近くに来た時は寄って見学できるし、ついでに、毎月美しいデザインで作られている上演チラシもGETして楽しめる。
今回は「能絵の世界」という企画展があり、とても面白かった。
能を題材とした絵は、大名家などで絵師に描かせ、保存されていたようだが、何百年も前に描かれたものが、今も色彩鮮やかに残っており、いかに大切に保管されていたかを物語っている。絵を収納する箱なども、実に豪華な造りである。
今回は「能絵鑑」という有名な能絵シリーズの企画展で、なんとこれは先日、NHKドラマ「忠臣蔵の恋」に登場した六代将軍家宣と、その正室の周辺で描かれたシリーズだという。4バージョンのシリーズがあるそうだが、そのうち一つは行方がわからず、残り三点が、国立能楽堂、法政大学の野上能研、宇和島伊達家にそれぞれ保管されており、今回はそれらを集めて展示したものだそうで、同じ作品の同じ場面を描いていても、それぞれ細かい違いの見られるところなど詳しい説明と共に展示されており非常に興味深かった。
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