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3月6日~17日、朝日新聞夕刊の「人生の贈りもの・わたしの半生」という連載コラム(インタビュー?)に、建築家・建築史家の藤森照信さんが登場されていたのを興味深く読んだ。
新聞を購読していない人も、↓でデジタル版を読めますよ(*^_^*)
http://www.asahi.com/topics/word/%E8%97%A4%E6%A3%AE%E7%85%A7%E4%BF%A1.html

このブログの読書日記の前身である、ホームページの「ストファ図書館」で、はなはなさんが藤森さんの著作をいくつか紹介して下さった。
http://sfurrow.warabimochi.net/gensan/gb_books/gb_books.html

これを機会に、まだ読んでいなかった藤森さんの著作を何か読もうと思い、何にしようか迷ったが、業務関係(?)もあって、『路上観察 華の東海道五十三次』(文春文庫ビジュアル版)を図書館で借りてきた。朝日連載の第5回に取り上げられていた「路上観察学会」に興味を覚えたことも理由である。



路上観察学会というのは、1986年に下記の5人のメンバーを中心に発足した会で、もちろん厳密な意味での「学会」ではないが(山野勝会長・タモリ副会長の「坂道学会」のもう少し大規模版のようなものか?)、「路上に隠れ潜む通常は景観・美観・とはみなされない建物、看板、貼紙などを採集、博物誌的視点や見立てによって解読」する活動を行っている。
5人のメンバーは

赤瀬川源平:画家・前衛芸術家、1981年には尾辻克彦名で芥川賞を受賞、作家としても活躍
藤森照信:東大建築史科教授、建築家としても数々の賞を受賞
南伸坊:「ガロ」編集長を経てイラストと共に文も書く「イラストライター」として活躍
林丈二:デザイナー。マンホールの蓋やブロックの穴のデザイン等について独自の研究
松田哲夫:筑摩書房編集者、「路上観察学会入門」出版が会の立ち上げとなった

46~47年生まれの藤森・南・林・松田よりも10年ほど先輩だった赤瀬川さんは、非常に残念なことに、2014年に亡くなられたが、残る団塊世代の4人は現在も幅広く活躍中である。

この『路上観察 華の東海道五十三次』という本が出版されたのは1998年、ほぼ20年も前のことで、街道歩きなどという事は今よりももっとずっとマイナーだったし、私自身も全く興味外だった。
発行は文春だが、企画制作は「株式会社同文社」とあるので、この会社のこと、企画制作のいきさつを知りたいと思って検索してみたが、同名の会社はいくつかあるものの、それらしい社のHPさえ見つからない。今はもう無い会社なのか? 私も自分が極小出版社に勤務するようになって初めて、世の中には誰も知らない小さな出版社や誰も知らない出版物というのがウンカの如くあって、その実態は非常にわかりにくいという事を知ったのだけれど、、、
この企画がもう少し遅ければ、我が社が企画制作を担当するということも、あり得たかもしれないのだよなぁ。

もっとも、5人のセンセイ方も本業が超多忙であっただろうし、路上観察は必ずしも街道全踏破を目的とするものではないので、5人のうち2~3人が一組となり、それぞれ東海道の一部分を担当して、それも「宿場をひと回りして、写真を撮って、次の宿までは「じどうしゃ」や「でんしゃ」で飛ばす」「昔にくらべりゃ、ずいぶん楽な旅」(南伸坊さんあとがき)という制作方法であったらしい。
本書の構成は、東海道五十三次の各宿場(+日本橋・三条大橋)ごとに分けて、ごく簡単にまとめた「由来」「見所」「珍品」(普通のガイド本的な部分はここだけ)、それに各人が見つけた路上観察物の写真とコメントが並んでいる。もちろん、一般の東海道ガイド本ではスルーされている、いや最初から撮影対象の埒外にあるものが大部分だが、たまに東海道を歩く人は必ず立ち寄る寺社の狛犬や石造物なども細かい観察で取り上げられていたりする。
5人それぞれによるあとがきも愉快で、5人の興味の対象やアイデアも、全くバラバラなのだが、既成の価値観とか権威に捕らわれないという所が共通しているのかもしれない。

私が一番共感したのは、松田哲夫さんが書かれている、東海道はそのメインである「海道」よりも、現在の新幹線や東海道線から離れた、鈴鹿峠あたりから京都の近くまでの部分が一番面白いという所だ。これは実際に歩いてみると本当にそう思う。三重県から滋賀県にかかるあたりだろうか。東海道について一番知らなかったところ、一番アクセスが悪く、行き帰りに苦労する所が最も楽しく思い出に残るものである。
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路上観察東海道

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